紀伊福島の家

所在地:和歌山県和歌山市
構造規模:木造平屋
延床面積:60.71㎡(18.36坪)
竣工:2014年
施工:三洋住宅(担当:高橋、大工:赤坂・今井)
家族構成:夫婦

紀ノ川河口域の北部に位置し、東西2方向を道路に挟まれた奥行のある敷地に建つ、70代の御夫婦のための住宅。

表となる東側は交通量の多い道路に接しているのに対して、裏の西側は静かで落ち着いた雰囲気が漂っています。先代のお父様が植えられ、立派に育っていたケヤキの樹をこの西側に残すことで、季節の移ろいを楽しめる庭とし、この庭とリビング~キッチンが深い軒下のデッキを介してひとつになり、それが生活の中心となる住まいを考えました。

「リビングと寝室は建具を引き込むことで、ひとつの空間として暮らせるように・・・」とのことが、御夫婦からのリクエストでした。それは結果的に寝室からも庭を見通すことのできる、風通しの良いプランに繋がり、どこにいても庭の様子が感じられる住まいとなりました。

御夫婦の人柄とも相まって、とても開放的な住まいとなりましたが、街中の生活では、外からの視線を遮ることで暮らしやすくなるものです。そこで、開口部には風を通すことのできる雨戸を設け、スムーズに開閉できるようにすることで、その時々に応じて自由に対応できるようにしました。また、この雨戸は夏場の西日と道路からの照り返しを避けるために利用することも考えています。庭に残したケヤキや新しく植えられた樹々もそんな夏場の遮熱対策にひと役買ってくれることでしょう。

この敷地の南側には、ふたつの住宅が建て込んでいましたが、冬場に家と家の間から差し込む太陽光を室内に取り込むことができるように、また、お隣の窓とは向かい合わせにならないように開口部の位置に配慮しました。

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食卓を通して、落ち着いた雰囲気の西側の庭を見る。

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道路側外観。窓には通風のできるスノコ状の雨戸が戸袋なしで収まっている。外壁は杉の赤身板を無塗装で張り上げています。

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玄関ポーチ、入口は片引き戸。新しく植えた紅葉の株立ちが道路からの視線を和らげている。

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軒が深いので、雨の日でも窓を開放することができます。

リビングから続く玄関ですが、プライバシーは守られています。

リビングからは窓際まで来ないと玄関が見えない位置関係。

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南側の腰窓から入る光は玄関スペースを介しても入ってきます。

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食卓を通してキッチンを見る。右側の寝室からも朝の光が入る。トップライトは夏場の温度差換気による排熱としても利用できる。正面奥はサニタリー。

リビングから寝室を見る。日中は布団を上げて生活されています。

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手前の寝室とリビング側の間の建具を開け放した様子。

床・天井は杉板、壁はシラス左官壁。正面窓外の既存のキンモクセイを利用して、お隣との目隠しにしています。

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キッチンから食卓側を見たところ。和紙調のプリーツスクリーンを下ろすと柔らかい光が心地よい。

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サニタリーに続くクローゼット。左側の寝室ともつながっていて便利です。

キッチンからもつながるウッドデッキ。きっと重宝されているのではないでしょうか。

ウッドデッキの上部にも深い軒が伸びています。

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西側の庭からみたウッドデッキのある外観。手前の樹は敷地に残したケヤキです。

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西側の庭と外観。庭には家庭菜園もできてます。屋根はガルバリウム鋼板のタテハゼ葺き。