紀美野の家
所在地:和歌山県海草郡紀美野町
構造規模:木造平屋
延床面積:59.62㎡(18.03坪)
竣工:2008年
施工:三洋メンテリフォーム(担当:木村、棟梁:前門)
家族構成:夫婦
小さな川に沿って田畑が広がる山郷に移り込んで来られた50代の御夫婦のための住宅。
敷地には空家となり老朽化していたRC造平屋(約30坪)、築50年程の木造平屋(約15坪)の2棟が建っていました。この地によく馴染んでいた木造平屋は、移住後、陶芸用の工房として少しずつ手を加えながら使い続けられることを希望されました。そこで古いRC造のみを取り壊し、そのスペースを利用して、新しい生活を快適にするための住まいを築くことになりました。
御主人の体が化学物質に対して敏感にアレルギー反応を起こしてしまうため、当設計室では普段から自然素材での家づくりを行ってはいるものの、この工事においては、使用する素材や施工方法について細かく御確認いただく必要がありました。
敷地の南西側には、数年間、耕作されていなかった畑があり、そこを御主人の体に合った安全な野菜を収穫するための、自然農法の畑にすることは大前提でした。畑に出て時を過ごすことが日々の楽しみとなる御夫婦にとっては、この畑も住まいの大切な一部だと考え、住宅との距離感と動線に配慮しました。
キッチンから目の前の畑に出て、食材となる野菜を収穫。外の洗い場で泥を落とし、そのままキッチンに運んで調理。お皿が運ばれた食卓につき、野菜の成長を見ながらその種採りについての会話、等々。今では御夫婦は、私の野菜づくりの先生です。
食卓側からキッチンを見る。床・天井は杉板、壁はシラス左官壁。
畑から見た南西側の外観。山が夏場の西日を和らげてくれる。
東側外観。外壁には杉の赤身板を無塗装で張り上げています。
正面の外観。屋根はガルバリウム鋼板のタテハゼ葺き。
窓には通風のできるスノコ状の雨戸が戸袋なしで収まっています。
友人や親類の方と一緒に調理を楽しむのが住まい手の御希望でした。薪ストーブはペレット兼用。
キッチン側から食卓を見たところ。奥の出窓は腰掛けのできる陽だまりコーナー。
ラウンドテーブルは楓(カエデ)で誂えられました。
壁の向こうに寝室とサニタリー。
和紙を太鼓張りした障子は玄関につながる。
障子を開けると玄関。風がよく通る。
左側はロフト付きのサブの寝室。右側は主寝室。
洗面コーナーの左右にトイレと浴室・脱衣場。
腰掛けベンチ付きの玄関。入口は片引き戸。
夜の食卓風景。
緩やかな切妻屋根のシンプルなカタチ。切妻屋根は雨水を最も簡潔に捌くことができる。