ブロック積み薪窯

東日本大震災の後、福島県南相馬市から近所に移住して来られていた方が、避難指示区域の解除に伴って、昨年の秋、南相馬に戻られる決断をされました。これについては今でも色んな思いがあるのですが、その方の意思は固く、お別れをすることになったのでした。それから約半年が経ち、その方がちょっとした用事でこちらに顔を見せて下さいました。久しぶりでしたが、とても元気そうでした。こちらで親しかった人達が集まりましたので、天候に恵まれたこともあり、我が家の庭先でpizzaでも焼いて食べようということになりました。

ここで立派な石窯が登場すればカッコイイのですが、我が家の窯はコンクリートブロックをただ積んで、さらにコンクリートの平板を渡しただけの超簡易な薪窯です。(笑)

薪窯2

それに耐火性も特に気にしていません。ですから、もし真似をすることがある時は、くれぐれも自己責任でお願いします。熱でブロックが割れてしまった時は、また積み直せばいいという、設計屋にあるまじきアバウトなものなのです。私自身、これをどなたかのブログで拝見し、真似をしただけのものです。積み始めてから30分程で完成したように記憶しています。

しかし、この窯を使っているうちに薪窯のシステムや効率的な熱の考え方などを経験でもって知り得ることができるので、最初から本格的な石窯に手を出すよりも良いのではないかと思っています。しかも、簡単に積み直すことができるので、大きさやカタチも色々と試すことができるのです。

上の写真の火が燃えているところがpizzaの焼き床となります。その下にもう一つ燃焼室を設けてあり、窯の温度を早く上げるためにここにも火を入れます。

薪窯3

上の焼き床の方は調理をするスペースとなるので、食材を入れるときには熾火を最上段に移し、燃焼はそこで一旦ストップしますが、下の燃焼室は窯の温度が下がらないように燃やし続けます。

着火をしてから1時間程で焼き床の壁・天井などの温度が500℃くらいになりましたので、この辺でpizzaを焼くことにします。温度は放射温度計というもので測っています。

薪窯4

こんな感じで焼き床の熾火を最上段に移します。焼き床の天井部分の温度が下がるのを防ぐ効果があります。熾火を移動するまでは濡れた薪を予熱で乾燥させたりできますし、この時は冷凍しておいた自家製トマトソースを解凍するのに使いました。秋にはこのスペースだけを使って栗の実を焼いたりするなど、ちょっとしたバーベキューグリルのように使うこともできるのです。

さて、焼き床に入れたpizzaですが、5分くらいで焼き上がりました。

pizza2

途中で一度、前後をひっくり返しています。蓄熱した窯から放射する遠赤外線でこんがり&ふっくら焼き上がります。

次のpizzaを焼くときは、最上段の熾火を再び焼き床に戻してから、直径2cmくらいの細い薪を5~6本投入して軽く燃焼させ、焼き床の温度をもう一度500℃くらいまで上げます。これを繰り返して、お腹が満たされるまで焼き続けます。

pizza1

庭先のテーブルに運んで、懐かしい人とおしゃべりをしながらの昼食です。
とても気持ちの良い時間を過ごすことができました。

この後、少し窯の温度が下がったところで、用意しておいたパン生地を焼き床に入れてカンパーニュを焼きました。残念ながら、写真を撮り忘れていました・・・。
こんな風に窯の温度がゆっくり下がっていくのに合わせて、その時々の熱を利用した調理が楽しめます。