薪づくりと山の手入れ
もうすぐ梅雨入りとのことで、やり残していた薪づくりを終わらせてしまうことにしました。ちなみに薪は冬場にストーブで使うためのものです。薪ストーブユーザーが薪を確保する方法は様々だと思いますが、我が家の場合もご近所で倒木があった時にお声を掛けていただいたり、山の間伐作業で出た不要な木を分けていただいたり、果樹農家からお声を掛けていただいたりと様々です。
今回は、お借りしている家の持ち主が所有する山の木を薪にさせていただきます。山といっても家の裏山のごく一部です。
この緑の濃いところがそうです。樹種は桧。我が家の薪ストーブであるネスターマーチンs43は針葉樹でもメインの薪として燃やすことができるので、桧材もありがたく使わせていただきます。
そんな桧の山なのですが手入れは長い間されていなかったらしく、建築資材などの用材として利用できるものはなさそうです。
そういうこともあり、薪材としていただくことになったのです。
上の写真の右側は山の際なので株元にも光が射し、植物が生えているのですが、左側はとても暗く地表にはほとんど植物が存在していません。間伐が行われていなかったために太陽の光が頭上の枝葉で遮られているためです。こういった森が日本の山で増えています。地表の植生が乏しいために表土が露わになり、雨が降っても地面にはあまり浸透せず、雨水は一気に流れていくことになるのです。山の治水機能の低下につながり、土砂災害や洪水の原因にもなってしまいます。それに第一、山に入っても気持ち良くありません。山の魅力のひとつは光と影の適度なバランスであったり、澄んだ空気などの自然の織り成す環境、そして何といっても多種多様な生態系を肌で感じられることです。今ある桧は薪として少しずつ伐採し、ありがたく使わせていただきながら、そんな気持ちの良い山への再生を徐々に行っていけないかと考えています。
今年の2月半ば、桧山の上の方から既に数本の間伐を行っていますので、今回はそれを薪になる長さに玉切りをして搬出しました。先に間伐をしておいたのは、葉枯らし乾燥を行うことで薪材をなるべく軽くして、搬出作業がラクに行えるようにするためでした。「葉枯らし」とは、木を伐採したあと枝葉を付けたままにしておき、その枝葉を通じて水分を蒸散させることで含水率の低下を促す予備乾燥の技術で、一般的には杉の建築用材で多く行われています。葉枯らし乾燥については、家づくりの仕事にも大きく関わってくることですので、いずれ詳しくお話できればと考えています。
玉切りした後の薪材。地表に植物がないので作業そのものは行いやすいです。
作業の途中で鹿の角を発見しました。鹿は春先に古い角を落とし、毎年新しい角を生やしますから、山に入った時にこうして発見することがあるのです。この辺は鹿もたくさん棲んでいて、畑へ侵入されてしまうこともあります。かつて早朝、集落を散歩していて10頭以上の鹿に遭遇し、その群れが一斉に山を駆け上がっていく光景を目にした時には圧倒されました。集落に住む人間の数よりも多かったのです・・・。(笑)
搬出した薪材ですが、早速薪割りを行いました。あとは風通しの良い場所に積んでおけば完了です。
しかし、薪割りはやはり冬に行うべきですね。汗びっしょりになってしまいました。